使い方
- 入社日(雇入れの日)を入力する
- 週の所定労働日数を選ぶ(シフト制などで週の日数が決まっていない場合は、平均的な週の日数を選ぶと目安になります)
- 週の所定労働時間を入力する(30時間以上かどうかで結果が変わります)
- 付与日・付与日数・使える最終日・時効で消える日・年5日の取得義務の期限が一覧で表示されます
年次有給休暇が発生する2つの条件
年次有給休暇(年休・有給)は、労働基準法39条にもとづいて法律上当然に発生する権利です。会社が「与える・与えない」を選べるものではなく、次の2つの条件を両方満たせば発生します。
- 雇入れの日から起算して6か月間、継続して勤務していること
- その期間の全労働日の80%以上出勤していること
この2つを満たした時点で10労働日が付与され、以後は1年ごとに、継続勤務年数に応じて日数が増えていきます。雇用形態は問いません。正社員でも、パートでも、アルバイトでも、契約社員でも、条件を満たせば同じように発生します。
「継続勤務」は在籍期間のことで、実際に働いた日数ではありません。休職期間があっても在籍が続いていれば継続勤務にあたると解されており、定年後の再雇用や、契約更新をくり返している有期雇用でも、実質的に労働関係が続いていれば通算されます。
付与日(基準日)はどう決まる?
最初の付与日は、雇入れの日から起算して6か月の期間が満了した日の翌日です。期間の数え方は民法143条2項にしたがい、「応当する日の前日に満了する」ため、2026年4月1日入社なら2026年10月1日が最初の付与日になります。2回目以降は、そこから1年ごとの応当日が付与日(基準日)です。
ただし実務では、入社日ごとに基準日がばらばらになるのを避けるため、全社一律の基準日(4月1日や10月1日など)に揃えている会社が多くあります。法定の付与日より前倒しで与える扱いは労働者に有利なので適法です。このツールは法定どおりの入社日基準で計算しているので、勤務先が一斉付与を採っている場合は付与日がズレます。
通常の労働者の付与日数(早見表)
週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が4日を超える労働者は「通常の労働者」として、次の日数が付与されます(労働基準法39条1項・2項)。
| 継続勤務期間 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
条文の作りとしては、まず39条1項が6か月時点の10労働日を定め、39条2項の表がそこへの加算日数を定めています。加算は「6か月経過日から起算した継続勤務年数」ごとに1年で+1日、2年で+2日、3年で+4日、4年で+6日、5年で+8日、6年以上で+10日で、6年6か月以降は20日が上限です。
パート・アルバイトの比例付与
所定労働日数が少ない人には、日数を比例させて付与する仕組みがあります(労働基準法39条3項・施行規則24条の3第3項)。対象になるのは、次の両方に当てはまる人です。
- 週の所定労働時間が30時間未満であること
- 週の所定労働日数が4日以下、または一年間の所定労働日数が216日以下であること
ここでよくある誤解が「週4日勤務なら比例付与」という単純化です。週4日でも1日の所定労働時間が長く、週の合計が30時間以上になる場合は通常の労働者と同じ日数(6か月時点で10日)が付与されます。逆に週5日以上の勤務なら、1日の所定時間が短くて週30時間未満であっても、日数の要件(4日以下)を満たさないため通常の日数です。判定には日数と時間の両方が要ります。
| 週の所定労働日数 | 一年間の所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 週4日 | 169日〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 週3日 | 121日〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 週2日 | 73日〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 週1日 | 48日〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
この表の日数は、通常の労働者の付与日数に「その人の週所定労働日数 ÷ 通常の労働者の週所定労働日数(5.2日)」を掛けて端数を切り捨てた値と一致します(施行規則24条の3第2項)。たとえば週4日勤務で週の所定労働時間が30時間未満の人が3年6か月まで勤めた場合の付与日数は10日です。
なお、週の所定労働日数が表の最小区分(週1日)に満たない、あるいは一年間の所定労働日数が48日に満たない働き方は、施行規則の表に該当する区分がありません。このツールでは、区分がない場合に日数を0日と表示することはせず、区分がない旨をそのまま表示します。
出勤率80%の数え方
出勤率は「出勤した日 ÷ 全労働日」で計算します。ここで注意したいのが、労働基準法39条10項が出勤したものとみなす期間を定めていることです。次の期間は休んでいても出勤扱いになるため、これらを理由に出勤率が80%を下回ることはありません。
- 業務上の負傷・疾病の療養のために休業した期間
- 育児休業をした期間
- 介護休業をした期間
- 産前産後の女性が労基法65条により休業した期間
また、会社都合の休業日や、正当な争議行為による不就労日は「全労働日」から除外して計算するのが一般的な取り扱いです。このツールは出勤率の判定を行っていないため、表示される日数は80%以上出勤している前提のものです。出勤率が80%に満たない年があると、その年の付与は行われない場合があります(39条2項ただし書)。
時効は2年。繰越はどう考える?
年次有給休暇の請求権は、労働基準法115条にもとづき2年で時効消滅すると解されています。付与された年に使い切れなかった分は翌年に繰り越せますが、翌々年まで持ち越すことはできません。このツールの一覧では、付与ごとに「使える最終日」と「時効で消える日」を表示しています。
同じ115条には「賃金の請求権は5年」という定めもありますが、これは未払い残業代などの賃金債権の話で、年次有給休暇には及びません。年休の時効を、この賃金請求権の年数(5年)やその経過措置の年数と混同して説明している情報を見かけても、年休は2年が原則です。
繰越分と新しい付与分のどちらから消化するかについて、法律に定めはありません。就業規則で「繰越分から消化する」と定めている会社が多く、その方が時効で失う日数を減らせます。定めがない場合の扱いは会社に確認してください。
年5日の取得義務(2019年4月から)
働き方改革関連法により、2019年4月から、年次有給休暇が10労働日以上付与される労働者について、使用者は基準日から1年以内に5日について時季を指定して取得させることが義務づけられました(労働基準法39条7項)。義務を負うのは労働者ではなく使用者側です。
労働者が自分で請求して取得した日数や、労使協定にもとづく計画的付与で取得した日数は、この5日から差し引かれます。つまり、すでに5日以上取得している人について会社が改めて時季を指定する必要はありません。比例付与の人でも、付与日数が10日以上になれば対象です。このツールの一覧では、付与ごとに義務の対象かどうかと履行期限(基準日から1年以内の最終日)を表示しています。
このツールの前提(かならず確認)
- 表示しているのは労働基準法が定める最低基準の日数・付与日です。就業規則で法定を上回る扱い(入社日の即日付与、日数の上乗せ、繰越日数の拡大など)をしている会社では実際と異なります
- 付与日を全社一斉に揃えている会社では、このツールの付与日とズレます
- 出勤率80%以上の要件は判定していません。80%以上出勤している前提の日数です
- 「これまでに付与された日数」は、時効で消えていない付与分の合計です。すでに取得した日数を差し引いていないため、残日数ではありません
- 週の所定労働日数が年の途中で変わった場合や、育児・介護のための短時間勤務に切り替わった場合など、働き方が変わるケースは反映していません
- 個別の事情で争いがある場合は、お住まいの地域の労働基準監督署(総合労働相談コーナー)や社会保険労務士にご相談ください
出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第39条・第115条 / 同「労働基準法施行規則」第24条の3 / 同「民法」第140条・第143条(期間の計算) / 厚生労働省「『年次有給休暇』の付与日数は、法律で決まっています」 / 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定義務」 / 厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇。付与日数の表は上記の条文と厚生労働省リーフレットの2系統から機械抽出し、全セルの一致を確認しています。