使い方
- 夫・妻それぞれの年収(額面)を入力する
- 都道府県(健康保険料率)と、それぞれの年齢区分(39歳以下/40〜64歳)を選ぶ
- 妻の社会保険の状態を確認する。「自動判定」では週20時間以上・従業員51人以上かを選ぶと、被扶養者か勤務先加入かを自動で判定する。実際の状態がわかっている場合は「勤務先に加入」「被扶養者」「国民年金+国保」に手動で切り替えられる
- 16歳以上の扶養親族(一般・特定)の人数を入力する
- 世帯の手取り・内訳・配偶者(特別)控除の適用状況が表示される
- 「妻の年収を動かすと」の表で、妻の年収による手取りの変化を確認する
- 「組み合わせ表」で、夫婦それぞれの年収の組み合わせごとの世帯手取りを見比べる
計算式・しくみ
夫・妻それぞれについて、まず年収から給与所得(給与所得控除後の額)を求め、社会保険料(協会けんぽの都道府県別料率・2026年の所得(所得税は令和8年分・住民税は令和9年度分))を計算します。次に、給与所得から社会保険料と基礎控除、配偶者(特別)控除・扶養控除(該当する場合)を差し引いた額に所得税の速算表を適用し、復興特別所得税を加えたものが所得税です。住民税は同じ考え方で、2026年の所得(所得税は令和8年分・住民税は令和9年度分)の所得にかかる翌年度分の額として計算しています。
配偶者(特別)控除と扶養控除は、夫婦のうち合計所得金額が高い方にまとめて付けています。配偶者特別控除は所得税法83条の2第2項1号により夫婦が互いに受けることができないため、このツールでは高い方に寄せて計算しています(合計所得が同額の場合は「夫」側)。妻の社会保険料は、「勤務先の健康保険・厚生年金保険に加入」「配偶者の被扶養者(本人負担なし)」「国民年金第1号+国民健康保険」の3パターンのいずれかで計算します。
世帯の手取りはどう決まるか
共働き世帯の手取りは、夫婦それぞれの手取りを単純に足しただけでは決まりません。妻(このツールでは年収が低い方をこう呼んでいます)の社会保険の加入状況や、配偶者(特別)控除を誰が受けるかによって、世帯全体の税負担が変わるためです。たとえば夫の年収が5,000,000円・妻の年収が1,000,000円(配偶者の健康保険の被扶養者・国民年金第3号被保険者になるので、本人が負担する社会保険料はない)のケースでは、夫の手取りは3,994,668円、妻の手取りは1,000,000円で、世帯の手取りは4,994,668円(世帯手取り率83.2%)になります。このとき夫が妻について配偶者控除を受ける(所得税380,000円・住民税330,000円)ため、夫の所得税・住民税がその分だけ軽くなっています。
妻の年収を増やしていくと、最初のうちは妻の手取りがそのまま世帯の手取りに上乗せされていきます。ところが、ある年収を境に妻自身が社会保険に加入すると、そこから先は年収の増え方より社会保険料の負担の増え方が大きくなる場面があり、世帯の手取りが一時的に下がる(いわゆる「働き損」)ことがあります。下の表1「妻の年収を動かすと」では、この変化を10万円刻みで確認できます。
壁を越えると何が起きるか
「年収の壁」と呼ばれる金額は複数ありますが、そのうち実際に世帯の手取りが下がるのは、妻自身が社会保険への加入を始める106万円の壁と130万円の壁の2つだけです。119万円の壁・136万円の壁・178万円の壁・207万円の壁は、税額や控除額が変わる境目ではありますが、これらを越えても妻自身の手取りが急に減ることはありません。
106万円の壁(所定内賃金が月額88,000円以上・年収換算1,056,000円)は、週20時間以上・学生でない・2か月を超える雇用の見込みがある・勤務先の厚生年金保険の被保険者が51人以上、の全てに該当する人が対象です。たとえば週20時間以上・51人以上企業で働く妻の年収が1,046,000円から1,056,000円に増えると、世帯の手取りは5,040,668円から4,895,544円に、145,124円下がります。なお、この賃金要件(月額88,000円以上)は賃金要件(月額88,000円以上)は令和8年10月に撤廃予定。施行期日を定める政令は2026-09-15時点で未公布で、法律上の期限は令和7(2025)年6月から3年以内(2028-06-19)。
130万円の壁(年収1,300,000円以上)は、106万円の壁の対象にならない人が主に関わる壁です。日本年金機構の基準で年間収入がこの額以上になると、配偶者の被扶養者・国民年金第3号被保険者から外れ、勤務先の社会保険に入れない場合は国民年金保険料と国民健康保険料を自分で負担することになります。既定の条件(週20時間未満・51人未満企業)では、年収1,290,000円のときの世帯手取り5,270,168円が、年収1,300,000円になると195,540円下がります。働き損が解消して元の水準に追いつくのは年収1,510,000円からです(あと220,000円多く稼ぐ必要があります)。
なお、社会保険にすでに加入している妻の年収が136万円の壁を少し超えたあたりでは、標準報酬月額の等級が1段上がり、年収の増加額より社会保険料の増加額の方が大きくなって、世帯の手取りがわずかに下がる行が出ることがあります。これは配偶者控除の変化とは無関係の、社会保険料の等級の境目によるものです。
配偶者控除・配偶者特別控除はどう変わっていくか
2026年(令和8年)の所得から。控除額が実際に減り始めるのは年収1,690,000円を超えてから。 同一生計配偶者の合計所得金額の要件(620,000円以下)を給与収入に逆算した額。
136万円の壁(1,360,000円)を超えると、配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わります。ここまでは配偶者控除。これを超えると配偶者特別控除に変わる。ただし配偶者特別控除も一定の年収までは控除額が同じなので、この時点では配偶者側の税額は変わらない。
2026年(令和8年)の所得から。控除額は年収1,690,000円を超えたところから段階的に減っていき、ここでゼロになる。 配偶者特別控除がなくなる。配偶者側(控除を受けていた側)の税負担が増える。(207万円の壁=年収2,070,000円)
配偶者(特別)控除は、控除を受ける側(合計所得金額が高い方)の合計所得金額によっても変わります。合計所得金額が900万円を超えると控除額が段階的に減り、1,000万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも受けられなくなります。共働きで夫婦とも収入が高い世帯では、この「控除を受ける側の所得制限」も手取りに影響します。
共働きで手取りを最大化する考え方
「妻の年収をどこまで増やすと世帯の手取りが最大になるか」に唯一の正解はありません。たとえば夫の年収が5,000,000円のケースで妻の年収を0万円から300万円まで増やすと、組み合わせ表では世帯の手取りが3,994,668円から6,548,428円まで増えていきますが、その途中の4,994,668円(妻の年収100万円)から5,265,828円(妻の年収150万円)にかけては、世帯手取り率が83.2%から81.0%へと、いったん下がっています。額面は増えても、増えた分がそのまま同じ割合で手取りに残るとは限らない、ということです。
そのうえで言えるのは、社会保険の壁(106万円の壁・130万円の壁)の少し手前で年収を止めれば、その時点での手取りは最大化できるということです。ただし、社会保険に加入すると将来受け取る老齢厚生年金が増え、傷病手当金・出産手当金の対象にもなるため、今年の手取りだけで判断すると、こうした将来の給付や保障を取りこぼすことになります。逆に、壁を越えてしっかり働く場合は、下の表1が示す「働き損が解消する年収」まで一気に増やせるかどうかが分かれ目になります。世帯の状況(将来設計・勤務先で社会保険に入れるかどうか・扶養親族の有無など)によって最適な水準は変わるため、このツールで実額を確認したうえで、数字にもとづいて夫婦で話し合うことをおすすめします。
このツールの前提(かならず確認)
- 「夫」「妻」は便宜上の呼び方です。実際には合計所得金額が高い方が配偶者(特別)控除・扶養控除を受ける前提で計算しており、同額の場合は便宜上「夫」側が受けるものとして扱います
- 給与収入のみを前提にしたモデルです。賞与は年間額を12等分して月割りで計算しているため、実際の支給時期によって社会保険料の実額は多少変わります
- 住民税は2026年の所得(所得税は令和8年分・住民税は令和9年度分)にかかる、同じ年収が続く前提の翌年度課税額の近似です。壁を越えた年の住民税の増減は、実際には翌年に反映されます
- 住民税は1級地(東京23区など)の基準で計算しています。均等割の非課税限度額は市町村の条例で決まるため、実際の金額は自治体によって異なることがあります
- 16歳未満の子は扶養控除の対象外のため、このツールでは人数の入力を受け付けていません(住民税の非課税限度額の判定にわずかに影響する場合がありますが、簡略化のため考慮していません)
- 年齢区分は39歳以下/40〜64歳の2区分のみです。60歳以上の被扶養者の年収上限(1,800,000円)の特例は考慮していません
- 妻の社会保険の自動判定は「週20時間以上か」「勤務先の厚生年金保険の被保険者が51人以上か」の2条件で行っており、4分の3基準・学生除外などの細かな例外は考慮していません。判定に使う月額賃金は年収を12で割った概算です
- 国民健康保険料は自治体ごとに条例で決まり全国一律の表がないため、未入力の場合は0円として計算しています。実際の手取りはこれより少なくなります
- 106万円の壁の賃金要件の撤廃は、施行期日を定める政令が未公布の間は「予定」の案内にとどまるため、このツールでは要件が引き続き有効なものとして計算しています(政令が公布され施行日が確定すると、その日から自動的に切り替わります)
- 「働き損が解消する年収」は1万円刻みで探索した値のため、表の10万円刻みの行の増減額とはわずかに基準点がずれることがあります
- 入力した内容はブラウザ内だけで計算され、サーバーには送信されません
よくある質問
出典
社会保険の壁: 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」 / 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」 / 厚生労働省「『年収の壁』への対応」
配偶者控除・配偶者特別控除・給与所得控除・基礎控除: 国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」 / 国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」 / 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」 / 国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」
法令: e-Gov法令検索「所得税法」83条・83条の2(リビジョン 340AC0000000033_20261201_508AC0000000012) / e-Gov法令検索「地方税法」295条3項・附則3条の3(リビジョン 325AC0000000226_20270101_508AC0000000002) / e-Gov法令検索「健康保険法」3条1項9号(リビジョン 211AC0000000070_20260801_508AC0000000031)
社会保険料率: 協会けんぽ 令和8年度の都道府県ごとの保険料率 / 日本年金機構「国民年金保険料」
壁の金額はいずれも一次情報の要件・控除額から当サイトが逆算した値です(社会保険2つは制度の定数をそのまま使用)。実際の判定に使う賃金・収入の範囲は制度ごとに異なるため、詳しくは各出典をご確認ください。このツールは計算を行うものであり、税務相談や社会保険の資格取得・喪失の手続きを代替するものではありません。